突発SS「美女と、ゆるい野獣」

とにかくノベマスを作りたいものの、どうにもネタが出ず詰んだのでSSを書いてみた。
ネタ出し30分程度。
これノベマス化しても単発な上に地味なので、あまり伸びなさそうですね。なのでSSで出すのがベストかなー。
後から可能なら一人検討会とかするつもり。正直、現状では素人のテキスト以外の何物でもないのは自覚してるので。

ちなみに765プロの方が1名ほど出てきますが、おそらく再現度には欠けると思われます。
というか自分でも分かる、再現できていない。
なので、その意味でもノベマスにはしない方がいいかな。不特定多数の目に付くし。

と言う訳で好き勝手やります。
このブログは生存確認兼、好き勝手やるスペースのつもりですし。
なんせ相方にすら存在をバラしていない。まぁペンタPで検索すれば一発で出るから高確率で見つかってはいるかなー・・・。


4000字弱、制作時間3~4時間程度。あいゆき。






可憐な少女と、謎の生物。
何とまあ非日常的なシチュエーションだろう。
と言っても、ここが遊園地だと説明すれば納得は行くであろう。


「あれ?」
その可憐な少女、萩原雪歩は大勢のファンに囲まれていた。
何せ、Bランクアイドルである。
Bと聞くと「B級」が浮かぶかもしれないが、この場合は「Aのすぐ隣」の意味である。
実際、隣でテレビカメラまで待機している。

・・・が。
ファンの感心は、隣にいる謎の生物に移っていた。
「ど、どうしたんですか?」
「あ、いや、雪歩ちゃんサインありがとう!」
そう言いつつも、ファンの1人の目線は雪歩には向かっていない。
巨大で、人が1人丸々入れそうな生物に向かっていた。
というか、むしろ入ってる。大人が見れば一目瞭然だ。
「もしかして、こっちも・・・いや、そんなはずは」
「あ、気付いたんですか?」
「へ?気付いた、って・・・。
カメラ回ってないっぽいのに、この着ぐるみ、ずっと雪歩ちゃんにくっついてるから変だなーって。
もしかして、765プロの誰かが入ってたりとか・・・」

「・・・す、凄いです!」
「え?マジ?」
「だったら・・・スタッフさん、いいですか?」
雪歩が、周りの取材班に確認を取る。
周りの状況を察して、耳の辺りを抑える生物。
「持ち上げられる?」
可憐な少女が、軽く生物の頭に手を添える。
それを支えにして、ふわりと謎の生物の頭部、というか着ぐるみの頭が持ち上がった。

「ふーーーっ!!!」
まるで、止まった列車が空気を抜くような大きい深呼吸の音が辺りに響いた。
いや、息苦しい格好をしていたのは分かるが、それを加味しても。
「・・・あーっ、日高愛だー!?」
「えっと・・・おはようございまーす!」


------------------------------------------------------------------



「『ゆーちゃん』になろう!」
こんな企画を、とある遊園地が打ち出した。
ゆーちゃんと言うのは、この遊園地に最近新加入したマスコットキャラである。
なお、最近のトレンドに合わせて「ゆるキャラ」になっているのだが、見返りとしてブームの後発組となってしまい個性に欠けていた。
後発だけあって、デザイン的には上手く流行を取り入れてあるのだが。

そこで、バイトに着せる予定だった着ぐるみを、客に貸し出す事にした。
しかも、無料。
童心に帰りに来た遊園地の客だけあって、予想外に多くの反響を得た。
過酷な着ぐるみバイト業務をアトラクションにしてしまい、賃金までカットする究極の一手である。
問題は、客の扱いが荒っぽいため、着ぐるみの修繕費が大いにかさむ事。
結局、リターンは知名度アップだけだった。もっとも、それが主目的であるので大成功である。

それを見た、2人の少女の会話。
「愛ちゃん、あれ着てみたいよね?」
「面白そうですね!折角だから、雪歩先輩も一緒にやりましょー!」
これを、そっくりそのままテレビ番組の企画に仕立てる事になった。
どちらにしろ、元から有名アイドル2人である。
都会の遊園地だけあって、有名人でもあまり騒がれないのだが、ブレイクしたアイドル2人組では、プライベートだと来にくくなったのは事実である。
ただでさえ時間もないのに。
なので、喜んでこの仕事を受ける事にした。


今も、ビデオカメラは回っている。
が、マイク班その他が撤収している。
既に粗方の収録は終わり、後は保険も兼ねて録っている形だった。
なので、雪歩と愛は半ばプライベートに近い形で楽しんでいた。
雪歩がサインに気軽に応じている辺りでも分かるだろう。
「いやー、765プロの誰かかと思ったら・・・まさか別の人気アイドルとは」
「100万円の金庫に金銀財宝が入ってたような感覚?」
「お前現金だなー」
「例えが思い付かなかったんだよ!えーと、その・・・」

「どうしたんです?」
その現金なファンに、愛が声を掛けた。
「・・・サインって、貰える?」
「もちろんですっ!」
寸分の迷いも無い答えが大音量で返ってきた。
「や、やった!俺、大ファンで!
舞さんと違って、金欲しさにアイドルやってなさそうだし・・・」
「お前現金だな」
「返す言葉もございません」

漫才はさておき。
「あ、そうだ。書くボールペン・・・これでいいかな」
その比喩が苦手な現金なファンが、カバンからボールペンと手帳を取り出す。
「ってか台とか無いけど大丈夫?」
そう言いながら、彼は手帳のメモ欄――白紙のページを開いた。
「大丈夫ですっ!前にサイン1000枚書いた時と比べれば!」
「愛ちゃん、それ何か違うような・・・」
まぁ、それでも問題は無い。
こういう場でのサインは、既にこの2人には慣れっこだった。
それに手帳である、失敗したら別のページにもう1回書き直せばいい。
「それじゃ、愛ちゃん!お願いします!」
「はいっ!」


沈黙。
見つめ合う、「ゆーちゃん」と現金なファン。
「・・・あれ?愛ちゃん?」
「ま、前が見えません~・・・」
日高愛は、何故か謎の生物に戻っていた。
「え?前は見えるんじゃ・・・でも、見える範囲狭いから確かに無理だね。
愛ちゃん、頭取ったら?」
雪歩が、やや大きい声で着ぐるみの耳に向かって叫ぶ。
普段の彼女の声量だと中まで届かないので、彼女なりの大音量まで上げていた。
「は、はいっ。えっと」
着ぐるみの頭部の耳の辺りを抑え、持ち上げる。
っと、これだとボールペンが邪魔だ。
ボールペンを一旦、持ち主の前に差し出す。意図を察して、預かる持ち主。
空いた両手で頭を持ち上げて、取った。

「えーと、じゃあ改めて・・・」
「はいっ!」
仕切り直して、ボールペンを借り直そうとする。
っと、小脇に抱えた頭部が邪魔だ。
なので被り直して、ボールペンを預かる。


「いや地面に置こうよ!?」
「あーーーーーーっ!!!」
ようやく先程起きた事態の全容を理解して、全力で叫んだ。
大方、「ゆーちゃん」の頭を無造作に道端に置くのが躊躇われたのだろう。
けど、冷静に考えたら全く意味のない行動である。
「ご、ごめんなさいーっ!」
大声で叫ぶ着ぐるみ。
着ぐるみに入っていても声がでかい。
自分の声が反響してうるさくないのだろうか、とも思ったが大丈夫らしい。
「き、気を取り直して、サイン・・・」

もう、ここまで来ると気付いてしまった。
今の日高愛の手は、「ゆーちゃん」の手である。
着ぐるみの手である。
謎の生物の手である。
「・・・どうしましょう」
ボールペンを持つのが精一杯な手の持ち主が、うなだれる。
「あー、いっそそれでお願いします。下手でもいいから。
プレミア付きそうだし、会えただけで嬉しいですし」


------------------------------------------------------------------



1分後。
ファンの手帳には、萩原雪歩と、「ゆーちゃん」のサインが描かれていた。
芸能人のサインは基本的に解読困難な記号だったりするが、今回の愛のサインは着ぐるみ越しに書いたがために更に記号化が進み、「ゆーちゃん」のサインとしか形容できないものが出来上がっていた。
それでも、日高愛のサインはひらがなベースの読みやすい部類のため、解読は容易なのだが。
隣に書かれた素朴で読みやすい「萩原雪歩」のサインも、上手く鑑定記号のように働いている。

「・・・このサイン、なんというか。
今のシチュエーションの縮図だなあ」
雪歩は書く文字が小さいのだが、今や有名アイドルである。
彼女なりに、ではあるが「渾身の大きさで文字を書く」といった芸当もこなせるようになった。
が、愛には遠く及ばない。
オマケに、書きにくさ対策で通常比3割増しの大きさで手帳の大きさギリギリまで書かれている。
結局、雪歩は後から隙間にサインを潜り込ませた。

今の、目の前にいる2人。
雪歩はやや平均以下の身長、と言った所だが、13歳の愛の方が更に下だ。
しかし、今の愛は謎の生物であり、軽く雪歩の身長をぶっちぎる。いや、並みの成人男性より大きい。
けど、ゆるキャラである。威圧感は無い。
可愛いのか、可愛くないのか、よう分からん。それが魅力なのだが。

「美女と野獣っつーか・・・美女と、ゆるい野獣?」
冷静に考えると、全然上手くないような気がする形容が、ファンの1人の口から飛び出た。
「・・・あ、そうだ。愛ちゃん、楽しかったよね?」
雪歩が、なんでもいいからフォローしようと口を挟んだ。
「それはもちろんですっ!
スタッフさん、ありがとうございましたー!って、さっき言いましたけど」
そう、感謝の意をカメラマンや、休憩中の番組スタッフに向かって叫ぶ。
事実、既に収録し終えた番組中でも、2人は相当楽しそうに収録していた。
「・・・愛ちゃん」

「あ、先輩も着てみます?」
「これ、アイドルが着るものじゃないのかなぁ」
その雪歩の言葉を聞いて、愛は着ぐるみの頭を拾い上げながら首をかしげた。
「え?どーしてです?」

「私たち、着ぐるみが無くてもアイドルに変身できるから」
「・・・あ」


------------------------------------------------------------------



「2人とも、ありがとうー!」
ファンの集まりが全員一斉に手を振る。
一応仕事なので、撤収の時間は設定されていた。
「こちらこそ、お世話になりました・・・!」
「これからも応援よろしくお願いしますーっ!」
そう、美女とゆるい野獣がアイドルの顔で叫んだ。
野獣の方は顔が見えないが、大体分かる。
・・・嬉しいけど、ちょっと切なそうな顔。

こういう着ぐるみを使う必要のない存在。
そのような存在になれた嬉しさを実感しつつも、着ぐるみの背中には、どこか哀愁が漂っているように見えた。
もっとも、哀愁が漂っているのは今日だけの話であろうが。


「雪歩先輩、お疲れ様でした!」
「お疲れなのは愛ちゃんだよ~」
[PR]

by icelake876 | 2011-04-17 11:54 | 雑談(アイマス系) | Comments(0)  

<< 仕切り直しか撤退かも分からず マイリストコメントの常連を集めてみた >>